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とっのちょっと、おでかけ

一期一会に感謝を込めて、ご訪問ありがとうございます 自作小説なぞを書き出しました
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( 世話が焼けるんだから )

"パッ"  ドサッ
ん!「 航、なんで ここなの 」「 もしかして 謀った訳 」
「 謀った訳じゃ無いんだ、違うんだって 」
俺の名は 岬航 ごく普通の高校生だが 特技が有る
自慢じゃないが 俺は テレポートする事が出来るんだ 
だけど 何時でも何処でもてぇ訳には 行かないんだよな
頭の中に 以前行った場所を思い浮かべて 飛ぶんだけど
俺って 気持ちにムラが有るのか
        その時の気分で 飛べたり飛べなかったりするんだ
「 文子ちゃん 誤解だってば~ 」
彼女はベッドの上にあったクッションを振り回し
「 私の事を 軽い女とでも思ってんのっ 」 ポフッ!!
彼女の名前は 近衛文子 ジェキュートと言うアイドルグループの
                愛称ユンとして 芸能活動をしています
「 ほんとに 誤解なんだよ~ 」
「 俺、飛ぶ時に お前と ほんのチョットでいいから
      二人っきりに 成りたいって思ったら
             自分の部屋に飛んじまったんだからさ~ 」
「 ほんと、じゃぁ 許す、」
文子は航の手を握ると
「 それじゃぁ さっさと 移動車に飛んでよねっ 」
「 うん、わかった 」
・・・
「 ごめん 無理みたい・・ 」
「 ほんと、世話が焼けるんだから 」チュッ、
~シュッ~
"パッ"
ツン、ツン、 「 ユン、お取り込み中 悪いんだけど そろそろ お仕事みたいよ 」
「 航、何してたのかなぁ~ 」 ニヤ ニヤ
~シュッ~
「 あらら、航ってば 真っ赤な顔して 逃げちゃった 」
「 ユン、二人でいい事してたんだ~ 」
「 べ 、べつに 何にも してないわよ 」
「 じゃあ 今のは 何なのかなぁ~ 」
「 あれは 航が 飛べないって言うから 喝を入れてやっただけよ 」
「 へ~ 喝なんだ 」
今、ユンをいじってるのが ジェキュートのメンバーのミッキとケイである
車内に 通る声が響く
「 はい、はい 三人とも お仕事ですよっ 」
そして これがマネージャーの浅見さん
以上の四人が 俺の秘密を知っている 数少ない人々なのだ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
( 進入禁止 )

近衛文子は 学業の傍ら アイドルとして活動している
従って 自宅近くのマンションに 衣装部屋兼 自分の部屋を借りていた
「 航、先日借りたノート ありがとねっ 今持ってくるから 此処で待ってて 」
「 あっ、頂き物のお菓子が有るけど 食べる? 」
「 文子ちゃ、、 ドカッ!
文子が航のお尻に蹴りを入れた
「 私は、学校以外では ユンなんだからねっ 」
「 じゃあ ユン、出来れば部屋ん中に入れてよ 此処寒いじゃん 」
ドカッ! 「 アイテテテッ、荒っぽいな~ 」
「 航の目論見に易々と引っかかる様な ユンだとでも 思ってんの 」
「 一回でも 航を部屋に入れたら最後 後は 何時でも飛べるんでしょ 」
「 チッ、」「 何か言ったっ 」
「 いや、別に何も 」( 惜し~い、上手く行けば ムフフだったのに )
「 航は、一度でも足跡を付ければ後は
         イメージするだけでテレポート出来るだから 油断出来ないわ 」
「 ん、航って 私が借りてるノートなんかも イメージすれば飛べちゃう訳 」
「 無理、無理 」( 試してみたけど )
「 そう、良かった、航が ノートの入ったカバンから出てきたら
                         そりゃぁ 恐ろしいわ 」
「 あはははっ、俺も そんな所から 出たくねえ~ってえの 」
ザッ、ザザザーッ
ユンは玄関前に 靴先で線を引くと
「 いい、航は 絶対~この線から 中に入っちゃ駄目よ 」
「 じぁ 此処で待っててねっ 」
バタン、
「 なんで 線まで引かれて 入っちゃ駄目よなんだ 」
タッ、
バシャッ!
「 航っ、」「 は、はいっ 」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
( 浅見さん )

ブゥゥーン、ブゥゥーン、ブゥゥーン、
「 はい、航です 」
「 あっ、航君、浅見ですが 」「 はい、何か? 」
「 うん、実は お願いが有って 」
「 悪いんだけど 移動車まで飛んで貰える? 」
「 はあ そんじゃ飛んでみます 」 ~シュッ~
"パッ"
「 わっ! 顔近すぎっ 」
「 ごめんね 実は 来て貰った用件は 私を事務所に連れてって欲しいの 」
「 事務所に大事な書類を 忘れちゃったんだけど 取りに帰る時間が無くて 」
「 なんか お手軽に 呼ばれちゃったんですね 」
「 本当に、悪いなぁとは思ってるけど お願い! 」
「 じゃあ、人目に付かない エレベーター横の階段でいいスかっ? 」
「 ええ、お願い 」「 じゃあ 手を 」
・・・
「 う~ん、駄目みたいっス 」
浅見さんは 両手を俺の肩に掛け 「 いい、集中よ、集中 」
「 じゃあ、もう一度 」
・・・
「 あ~っ、もう 時間が! 」
「 えいっ! 」ムニュ、
~シュッ~
"パッ"
「 アレ、舌は入れなくて良かったっけ 」 カーッ
「 あっ、帰っちゃ駄目よ 此処で待っててね 」
タッ、タッ、タッ、・・バタン・・
バタン、タッ、タッ、タッ、
「 お待たせ、じゃあ帰りましょ 」「 はぁ 」
~シュッ~  "パッ"
「 ありがと 今度、美味しい物でもご馳走してあげるからね 」
「 ところでお姉さんのキスはどうだった? 」 カーッ
「 冗談よっ、でも ユンちゃんにキスした事 謝っとかなきゃいけないかしら 」
サーッ ( 半殺しの目に遭うな きっと )
「 赤くなったり、蒼くなったり、忙しいのね 」
「 これも冗談、黙っとくから 又、困った時には お願いねっ 」
~シュッ~
「 あら、帰っちゃった まあ、いいか~ 」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
( 送迎 )

ピリ、ピリ、ピリ、ピリ、「 ユン、なんか 用事? 」
「 うん、実は 困た事に成ってるの 移動車まで飛んでくれる 」
「 OK判った 」~シュッ~
"パッ"「 あれっ、誰も居ない? 」
ピリ、ピリ、ピリ、ピリ、「 はい、航 」
「 浅見さん? 車の中に誰も居ないんだけど 」
「 あっ、ごめんなさい 私も未だそっちに行けなくて
    悪いんだけど 車から出て 関係者通路まで来て貰える 」
「 はい、判りました 」
ガーッ バタン、
通路まで遣って来ると 入り口前には
     雑誌記者やらファンらしき人々で ごった返していた
警備員が「 IDの無い方は お通し出来ません 」
トルルルー、トルルルー、
「 あっ、浅見さん、警備の人に止められて 中に入れないんですが 」
「 はい、私が今其処に行くまで 待ってて頂戴 」
暫くすると 通路の奥から 浅見さんの姿が見えた
「 すいません、この子 うちのスタッフなんです 」と
警備員にID証を見せ 要約、建物に入ることが出来た
「 浅見さん 一体何の騒ぎなんですか? 」
「 今回 競演してる別のグループの子が
    スキャンダル騒ぎを起こしちゃったらしいの
      それで 私達も巻き添えを食っちゃって カンズメ状態 」
「 早く 次の会場に移動しなきゃ間に合わないから
           航君に 助けて欲しくて 来て貰った訳 」
「 はぁ 」
「 控え室にユンちゃんが居るから 皆で対策を練りましょ 」
「 はぁ 」
キィー バタン
「 航、ごめん、お願い、」ユンがしおらしく 手を合わせて懇願する
「 でっ、俺は、どうすりゃいいの? 」
浅見さんが切り出した
「 先ず、航君に 私を車まで運んで貰って
            私が 車を駐車場から出して
適当な場所まで離れたら 連絡を入れるから 残りの三人を送って欲しいの 」
「 一度に一人づつしか 連れて行けないから
               四往復か~ 大丈夫かな~? 」
「 航、けっこうハードなのは判ってるけど お願い! 」
「 うん、遣ってみるか 」
「 じゃあ 先ずは 浅見さん 」航は素早く手を握ると
~シュッ~
"パッ"
「 ありがとう 助かるわっ 」「 連絡入れるから 後、お願いね 」
「 はい 」
~シュッ~
"パッ"
「 お帰り 」「 外の様子はどうだった 」
「 うん、あまり良くは見てないけど 未だ 大勢の人が居たみたいだった 」
・・・
キュル、キュル、ギューン、
浅見はエンジンを掛けると ワンボックスの電動カーテンを全開にして
駐車場から 車を出した
出口付近に車が差し掛かると 記者らしき男が車を覗き込み
「 誰も、乗ってね~っ 」と声を上げながら 仲間内に手を振った
「 すいません 通してくださ~い 」
ワンボックスカーは 人波を掻き分ける様に ゆっくりと走り去る
ピリ、ピリ、ピリ、ピリ、
「 はい、航です 」「 はい、はい 」
「 もう良いそうだから 先ずは ミッキちゃん、手を 」
~シュッ~  "パッ"
~シュッ~  "パッ"
「 次、ケイさん ユンは最後で良いよね 」「 うん 」
~シュッ~  "パッ"
「 ハァ、ハァ、ハァ、」
連続のテレポートが こんなに体力を使うとは 思っても見なかった
「 航くん、息が切れてるよ 大丈夫? 」「 はい、なんとか 」
「 後は 少しだけ頑張ってね 」チュッ、
~シュッ~  "パッ"
「 航、ほっぺの処? 」「 これは ケイさんが・・ 」
~シュッ~  "パッ"
「 ケイちゃん、紛らわしい事しないでよっ 」
「 私は 航くんを励ますつもりと感謝の意味で・・ 」
「 航はねっ 思い込みが激しいんだから 勘違いするじゃない 」
ミッキが「 航君、ユンが、凄くやきもち 焼いちゃってるよ 」
( くわばら、くわばら、)  ~シュッ~


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
( 二人旅 )

「 航、来週の日曜日空いてる? 」
「 べつに 予定は無いけど なんかあんの? 」
「 うん、久しぶりのオフだから 北海道に連れてって欲しいの 」
「 北海道? 」
「 だって、私、皆と一緒に 修学旅行に行けなかったじゃない 」
「 あっ、そうか ユンは仕事が入って 行って無いんだ 」
「 わかった、じゃあ 俺の行った場所に飛べばいいんだね 」
「 うん 」
日曜日の朝・・
ピンポーン、ガチャッ、「 おはよう 」「 航、準備はいい 」
今朝のユンは 赤いチェック柄のシャツに
カーキ色のパンツを穿き 紺色のキャップを被っていた
航は「 ちょっと 待ってて 」と言い残し 自分の部屋から 白のブルゾンを持ち出し
急いで玄関前まで遣ってくると「 まだ 寒いかも知れないから これ着とけば 」
「 ありがとう、優しいんだね 」「 あれっ、ユンも素直で 優しいじゃん 」
「 当たり前でしょ ユンは 何時でも素直でいい子なんだから 」
フッ、「 なによ~っ その含み笑いは 」「 いや、なんでも・・ 」
「 じゃあ、行く? 」「 うん 」
航は ユンの手を取ると「 先ずは 富良野に飛んでみるよっ 」「 うん お願い 」
~シュッ~
"パッ" ビューッ ドサッ、バサッ、ムニュ モミモミ
二人は 着地寸前に突風に煽られ 草原に倒れこんでしまった
「 航、この手はなんなの 」
「 いや、行き成りの風で 偶然 手がここん所に乗って 」ムニュ モミモミ
サッ、
航は ユンの前にみつゆびを附いて「 お粗末様 」ダッシュ!
ユンが殴りかかった頃には 航は既に走り出していた
ダダダダッ「 あはははっ 」
「 待てえ~ 」ダダダダッ・・・「 待たないよ~ 」ダダダダダダダッ
・・・
「 ハァ、ハァ、ハァ、ハァ 」「 ハッ、ハッ、ハァ、ハァ 」
「 も、もうかんべんな 帰ったら 日記にちゃんと書いとくからさ 」
「 何を? 」
「 発育・良って 」
「 まだ言うか! 」ポカッ、
「 アハハッ 」「 ウフフフッ 」・・・
「 航、あそこに見える お土産屋さんには行った? 」
「 入ったと思うけど ラベンダーを乾かしたみたいのとか 有っただけだぜ 」
「 ポプリとかじゃないの? 」「 よく判んねぇ 」
「 も~っ、航の言う事は当てになんないから とにかく 入ってみるわよっ 」
店内に入ると ユンは あっちに行ったり こっちに行ったりと忙しない
「 ユン、まぁだぁ~ 」「 大人しく待ってなさい 」「 は~い 」
・・・
「 航、次は何処に行く? 」「 もう、気が済んだ 」「 うん 」
航は ユンの手を握ると「 う~ん 」
~シュッ~ "パッ"
着いた場所は 少し薄暗かった「 航、此処、何処? 」
「 網走刑務所 」「 ここって、入館料が要るんじゃないの? 」
「 もう、入っちゃったし、タダで入れば 刑務所行きだろ 」
「 随分と都合のいい 言い訳じゃな~い 」
航は 鉄格子を握って ふざけて見せた「 出してくれ~っ 」ガタガタガタ
「 つまんな~い 」「 うっ、外してしまった 」
「 もう良いから なんか食べに行こうよ~ 」
「 うっ、うん、じゃあ ラーメン横丁なんか 如何 」
「 そうだねっ、一応 定番は押えて置かなくっちゃね 」
「 じゃあ、行くよ 」「 うん 」
~シュッ~ "パッ"
「 あれっ、なんか思ってたのと違う 」「 如何が違うのっ? 」
「 もっと 広い所だと思ってたのに なんだか 雑居ビルみたい 」
「 でも ラーメンは有るんだから 細かい事は気にしない 気にしない 」
航は 一軒の店に目星を付けると「 此処に、入ろう 」
ガラガラガラ「 いらっしゃ~い 何にします? 」
「 え~と、ユン、みそラーメンで良い? 」「 うん、任せる 」
「 じゃあ、みそラーメンを二つ 」「 はい、承知しました 」 
航は ユンが北海道に行きたいと言った日から
      改めて パンフやガイドブックを読み漁り この日に備えていたのだ
・・・
「 あ~、美味かった 甘露、甘露 」「 なにオジサンしてんの 」
「 いいじゃん 美味かったんだから 」「 まぁねっ 異論は無いわよ 」
「 次は 摩周湖に行ってみるか? 」「 賛成!」
「 ごちそうさま~ 」ガラガラガラ
二人は手を繋ぎ 目立たない場所を選んで「 行くよ 」「 うん 」
~シュッ~ "パッ"
「 うわ~、綺麗! 」
「 すげー この前は 霧が掛かってたのに 今日は見違える程だ 」
「 やっぱり、ユンの人徳と言う所でしょ 」「 ゆってら~ 」
「 でも、霧が晴れるのは 年に数回だって言うから
                     本当にラッキーだよね 」
二人は手を握り締めながら 暫し時間を忘れ この風景に浸っていた
「 ロマンチックよね 」
「 うん、此処に居ると ユンが清楚に見えるから不思議だ 」
「 何時もは 如何見える訳 」
「 う~ん、乱暴者 」ドカッ、「 あ痛てっ、ほらなっ 」
航は ユンを突然抱きしめると
「 俺も 憎まれ口を叩かないようにするから
          今日は 大切な思い出作りにしようぜ 」
「 うん 」・・・
やがて 薄っすらと霧が立ち込め
 航とユンは其の中に溶け込むように 唇を交わした
・・・
~シュッ~ "パッ"
小樽運河・・
運河沿いに着いた頃には 陽も傾き 夕焼けが眩しかった
「 ユン、寒くないか? 」「 大丈夫だよ 」
二人は オレンジ色に染まったレンガ倉庫を横目に 只、歩いた
口数は少なくなったが 其の分 お互いの手を確りと捕まえて・・
ユンが「 手の届く距離が やすらぎ なんだね 」「 そうだね 」
・・・
~シュッ~ "パッ"
「 此処は? 」「 うん、俺達が修学旅行で泊まった旅館 」
「 ユン、泊まってみる 」
ユンは 急に頬を赤らめて「 だ、だ、駄目だよ 」
「 冗談だよ、でも此処の温泉、入浴だけでも出来るから 入ってみる? 」
「 ぅん 」 
航は 温泉から上がると 脱衣室の外にある
     ソファーに腰掛て ユンが出てくるのを待った
ユンは 身体から湯気が見えそうな感じで
          肌をピンク色に染め 脱衣室から出てくると
「 航、待った? 」「 大丈夫、まだ 身体がホクホクしてるぜ 」
「 少し此処で休んでから 家に帰ろうか? 」「 うん 」
「 航、航がテレポート出来るおかげで 一日で色んな所に行けたよね 」
「 本当にありがとうございました 」ペコッ
「 止せよ、そんなに改まって言われると 照れちまうよ 」
やがて 身体の火照りも収まり 二人は旅館を出ると
~シュッ~ "パッ"
「 航、今日はありがとねっ 」「 ユン、気を付けて帰れよ 」
「 じゃあね、バイバーイ 」
ダッ、バタン、
航は 急いでトイレに駆け込むと
ウゲーッ、ゲーッ、ゲー、ハァ、ハァ、ハァ、
トイレットペーパーで口を拭いながら「 やっぱ、遠出はキツイや 」
・・・






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